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歴史と雑学

果物と野菜に関するなるほどがいっぱい #:224 2016.09.16更新 <監修: 医学博士 長野美根>

いまどきの行事食の楽しみ方

日本には一年を通じていろいろな行事があり、それにともなって行事食が作られてきました。日常とは違う特別な「ハレの日」には、ご馳走を作って神様にも捧げたのです。この「ハレの日」は、毎年巡ってくるお正月やお盆などの年中行事のほかに、誕生、結婚、還暦などの人生の節目にあたる人生儀礼も含まれます。食生活も質素だった昔は、このような「ハレの日」に、自分たちもご馳走を食べて休息することで栄養をつけ、体を休めるという意味もあったようです。
 四季のある日本では、自然の恵みとして与えられた旬の食材が豊富です。行事食にはそれぞれの旬の恵みを取り入れたものが多く、季節の風物詩の一つにもなっています。春野菜には代謝を促す作用があり、夏野菜には体を涼しくする働き、秋から冬野菜には体を温める根菜類など、季節にふさわしい食材が多く、それらが四季の行事食に上手く組み込まれています。

行事食や伝統食からは学ぶことがいっぱい

行事食や伝統食からは学ぶことがいっぱい

行事食でなければ食べる機会の少ない食材や調理法もあります。たとえば七草がゆの春の七草や、重陽の節句の食用菊など、日常ではあまり食べることのない食材との出会いは新鮮です。日々の食卓に四季を通じて行事食や伝統食を取り入れることで、献立にもメリハリがつき、マンネリ化も解消されますね。また料理だけでなく、行事食にまつわる食器やしつらい、風習などを知ることも、和の文化にふれることにつながります。
 節分の豆まきや端午の節句の菖蒲湯、七夕の笹飾り、お月見のお供え飾りなど、家族みんなで楽しめる風習もいっぱい。それぞれの役割や、わが家ならではの工夫をするのもすてきです。こうしたイベントや、家族で囲む行事食の食卓から、私たちは知らず知らずのうちに四季の移り変わりや、自然と共存することの大切さを学ぶことができます。

新しいイベント行事食もふえています

食生活も豊かになり、生活様式も多様化してきた現代では、行事食のとらえ方も大きく変わってきています。もともと続く五節句や宮廷行事が起源のもの、五穀豊穣を祈願するお祭りなどの行事食に加え、海外からのものも多く定着しています。クリスマスのチキンやケーキ、バレンタインデーのチョコレート、ハロウィンのパンプキン料理なども今やイベント化し、新しい行事食のひとつに数えられています。また節分の恵方巻きや土用のうなぎなども、毎年お店に行列のできる季節の風物詩です。
 こうした新しいものに加えて、古くから伝わる行事食も、昔どおりに再現したり、手作りすることにこだわらず、もっと気楽に食卓に取り入れてみませんか。

お月見イベントも、いまどき風のアレンジで!

たとえばお月見のお団子も、儀式ばった三方でなくても、家庭にある丸盆に和紙を敷くだけで立派なしつらえになります。小さなお子さまがいたら、お団子の代わりに真ん丸のドーナツを積み重ねてもいいでしょう。お月見といえば里芋の衣かつぎや栗、豆などをお供えするのが習わしですが、お供え物にしなくても、栗ご飯を炊いたり、里芋のコロッケにするなどでもよいでしょう。お月さま見立てたスコッチエッグに兎のりんごを添えれば子供も大喜び。アイデアを生かしたお月見メニューで月見を楽しむのもよいでしょう。
月見酒には、月の名前がついたおうちカクテルを作るのもおすすめ。ジンベースの「ムーンライト」や、ウイスキーベースの「ムーンリバー」などで、ムーディーなひとときを過ごせそうです。レモンの輪切りを満月に見立ててグラスに浮かべるのもすてきですね。 こうして思い思いのアイデアで仲秋の名月を愛でるのがいまどき風。古い伝統を大切にしながらも、無理せず、ライフスタイル合った方法でで行事食の伝統を継承していきましょう。そのひと工夫が生活のメリハリや家族の団らんタイムをより楽しいものにしてくれます。


参考/農林水産省/行事と食文化ホームページ
   『知っておきたい日本のしきたり』武光誠著(角川ソフィア文庫)