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食育と栄養学

正しい知識でこれからの毎日を楽しく #:97 2010.06.08更新 <監修: 医学博士 長野美根>

ヘルシーな料理用油いろいろ

健康によいとされる油の秘密とは?

健康によいとされる油の秘密とは?

カロリーが高いために、「ダイエットの敵」「生活習慣病のもと」と思われがちな油。でも、なかには逆に生活習慣病を防ぐなど、ヘルシー効果が期待できるものも少なくありません。また、健康志向が高まっている昨今では油の研究も進み、健康を考えた商品の開発も進んでいます。毎日の料理に使う油だからこそ、それぞれの特色や効果を知ってヘルシーに使いこなしましょう。

健康によいとされる油の秘密とは?

料理用の油は主に植物の実や種を搾ったものなので、原料によって含まれる脂質や栄養素が違い、それが油のヘルシー効果に関係しています。油を構成しているのは脂肪酸とよばれる脂質です。脂肪酸は大きく分けて、肉に多い飽和脂肪酸と、植物や魚に多い不飽和脂肪酸があります。ヘルシー効果で注目されているのは、このうちの不飽和脂肪酸。特にオレイン酸、リノール酸、リノレン酸などには、悪玉コレステロールを減らす効果があるとされています(ただしリノール酸については、摂りすぎると善玉コレステロールも減らしてしまうので注意が必要です)。日常よく使われる油の中で、オレイン酸が抜群に多いのはオリーブ油。ゴマ油はリノール酸、シソ油はリノレン酸が多いことで注目されています。

オリーブ油のオレイン酸パワー

地中海沿岸の人は心臓病になりにくいという「地中海式ダイエット」で注目されたのがオリーブ油です。その秘密は、不飽和脂肪酸であるオレイン酸を約70%含んでいること。オレイン酸には善玉コレステロールを減らさずに、悪玉コレステロールだけを減らす作用があります。酸化しにくいので加熱料理にも向いているのも特徴です。

ゴマ油のリノール酸・抗酸化パワー

ゴマ油にはオレイン酸のほか、リノール酸も豊富なので、コレステロール対策に効果的。ゴマ由来のゴマリグナンなどの抗酸化物質を多く含むので、酸化しにくいうえ、体内でも脂質の酸化を防いで、血液をサラサラにする効果が期待できます。

シソ油のα-リノレン酸パワー

α-リノレン酸を60%以上含んでいるシソ油も話題です。α-リノレン酸は体内でDHAやIPA*を合成します。DHAやIPAは魚に多く含まれる不飽和脂肪酸で、強い抗酸化作用で血液をサラサラにしてくれる成分。つまり、α-リノレン酸にも同じ働きが期待できるのです。ただし、酸化しやすいので、サラダやマリネなどで加熱せずに使ったほうがヘルシー効果を生かせます。

※一般には、EPA(エイコサペンタエン酸)と呼ばれていますが、ここでは、文部科学省学術用語集(化学編)、日本化学会、日本油化学会にならい、IPA(イコサペンタエン酸)を採用しています。

機能成分を配合した「新顔ヘルシー油」も続々登場

最近はさまざまなヘルシー成分を配合した料理油も数多く出回っています。たとえば、飽和脂肪酸の一つである「中鎖脂肪酸」は分解・燃焼されやすいため、体脂肪になりにくいのが特徴です。これを配合することによって、「脂肪がつきにくい油」として、特定保健用品に認定されたものあります。
 このほか、植物の胚芽などに多く含まれる脂質である「植物性ステロール」にも、悪玉コレステロールを減らす働きがあることがわかってきました。これを一定条件で配合した食用油も、特定保健用品として認められています。
 また、悪玉コレステロールを増やし、心臓疾患などの危険があるとされる「トランス脂肪酸」を除いたり、減らした油もあります。トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の一つで、天然の植物油にはほとんど含まれませんが、油を加工する段階で生成されることがあります。WHO(世界保健機関)とFAO(国連食糧農業機関)の合同専門家会合は、2003年、トランス脂肪酸の摂取量を総摂取カロリーの1%未満にするように勧告しました。日本人の場合、トランス脂肪酸の摂取量は1日の総カロリーの0.3%ほどとされ、WHO、FAOの基準値はクリアしています。普通の食生活を送っていればそれほど心配はいりませんが、現在、日本でも含有量表示のガイドライン作成が検討されているほか、各メーカーでもトランス脂肪酸を低減した商品の開発が進行中です。
 ただし、どんな油でもカロリーは高いので、摂りすぎないのが大原則です。脂質の摂取量の目安は総摂取エネルギーの20~25%とされています。1日2000kcalを摂る人で50g程度ですが、これには肉などに含まれている脂質も含むので、料理用油で摂取する適量は10~15g(大さじ 2/3~1)が目安です。