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果物と野菜を中心とした生活を #:117 2011.04.12更新 <監修: 医学博士 長野美根>

生ハム入門

生ハムは豚肉を長期間塩漬けし、そのまま乾燥させながら発酵させ、低温で燻煙したもの。しっかり熟成した旨味としっとりとした食感が魅力です。生ハムの本場であるヨーロッパの国々には、それぞれ自慢の銘品があります。最近では日本でも、そうしたヨーロッパ産のじっくりと時間をかけた本格的な生ハムを楽しめるようになりました。

イタリア編 -本場のプロシュートは日本でも注目の的-

日本でも人気のイタリア産の生ハム、プロシュートは、ラテン語で「とても干からびた」を意味するprae exsuctusが語源だとされています。イタリアではプロシュートといえばハム一般を意味するので、正確には生ハムのことは「生」を表すcrudoを付けて「プロシュート・クルード」と呼びます。
 プロシュートのなかでも世界三大ハムの一つとして有名なのが、イタリア中部にあるパルマ地方で生まれた「プロシュート・デ・パルマ」です。肉を塩漬けした後、1年から2年という長い間をかけて乾燥、熟成させるのが特徴です。この地方の気温や湿度、川沿いを吹く風がもたらす乾燥した気候が、生ハムの熟成に適しているのです。そのため、生産地は厳密に限定され、そこで作られたものだけが「デ・パルマ」のブランドを冠することができます。

スペイン編 -銘品ハモン・セラーノ、ハモン・イベリコが代表的-

生ハムはスペインでも食卓に欠かせない食材。最近日本でも増えているスペイン風居酒屋"バル"でも人気のおつまみです。代表的なものに、ハモン・セラーノやハモン・イベリコがあります。
 ハモン・セラーノは、プロシュート・デ・パルマと並ぶ世界三大ハムの一つ。「ハモン」はハム、「セラーノ」は山を意味することばで、その名の通りスペインのアンダルシアやカスティーリャ地方などの山岳地帯で作られています。寒暖の差が大きく、寒冷な気候を利用して1年以上じっくりと熟成させることで、独特の風味を生み出しているのです。
 ハモン・イベリコの「イベリコ」は、スペインのある「イベリア半島の」という意味。イベリア半島で古くから食されていたイベリコ豚で作る生ハムです。最高級のイベリコ豚で作る生ハムは、とろけるようなおいしさ。世界の美食家のまさに垂涎の的です。

ドイツ編 -人気のラックスシンケンはビールにもぴったり-

冬の寒さが厳しいドイツでは、ハムやソーセージなどの肉の保存食に伝統とこだわりがあります。生ハムもよく食べられていて、最も代表的なものは、ラックスシンケンと呼ばれるものです。豚のロース肉を使い、塩漬けしてから低温でじっくり燻煙して作ります。「ラックス」とは鮭、「シンケン」はハムのことで、生ハムの鮮やかなピンク色が鮭の身の色に似ているため、この名があります。マイルドなおいしさはライ麦パンなど、ちょっと酸味のあるドイツパンとの相性も抜群。朝食のときにチーズと一緒にパンにのせたり、スモーキーな香りを、ドイツ人が大好きなビールとともに楽しむのにぴったりです。

日本編 -ドイツ風のラックスハムを手軽に味わう-

日本編 -ドイツ風のラックスハムを手軽に味わう-

日本ではスライスをパックにした国産の生ハムが多く出回っています。これはJAS規格上「ラックスハム」と分類されているもので、ドイツ風のラックスシンケンの製法がもとになっています。日本ではこれまでハムといえば加熱したロースハムやボンレスハムが主流でした。加熱しない生ハムは、長い間JAS規格外として、国内で製造できなかったのです。また、肉食の歴史が浅い日本では、しっかり加熱したロースハムやボンレスハムのほうがなじみやすいということもあったようです。ところが、1982年には規格が定められ、国内で製造・販売できるようになりました。手頃なラックスハムの普及もあって、今では生ハムファンも増加中。本格的な輸入ものを味わったり、スライスパックを気軽におつまみにしたり、いろいろな場面で楽しめます。