\歴史と雑学/

歴史と雑学

果物と野菜に関するなるほどがいっぱい #:121 2011.06.07更新 <監修: 医学博士 長野美根>

世界のウェディングケーキ

結婚式では新郎新婦の門出を祝ってさまざまな趣向がこらされますが、なかでもウェディングケーキは、花嫁の衣裳と並んで注目の的。まだ記憶に新しい英国のウィリアム王子とキャサリン妃のロイヤルウェディングでも、8段重ねの豪華なケーキが話題になりました。どんなケーキがどのように演出されるか、そのスタイルは国や地域、時代によって違いますが、人々は新しいカップルの幸せと一族の繁栄への願いを甘いケーキに託してきました。

イギリス式ウェディングケーキは王室発

伝統的なイギリス式のウェディングケーキは、お酒に漬けたプラムやレーズンなどをたっぷり焼き込んだ濃厚なフルーツケーキがベースです。それにアーモンドの粉末を練ったマジパンを塗り、さらに砂糖がけをして花やレースの模様を装飾します。最初は1段だったそうですが、18世紀にヴィクトリア女王の結婚式で3段重ねの豪華なウェディングケーキが作られると、その後は3段が定番になりました。
 下の段は披露宴で招待客に供され、中間の段は列席できなかった人に配られ、上の段は結婚1周年か最初の子どもが生まれるまで保存しておく、という風習が生まれたとのこと。お酒や砂糖がたっぷり使われていたため長期保存ができたのです。日本の披露宴にウェディングケーキが登場するのは戦後ですが、このときに取り入れられたのは、このイギリススタイルのケーキでした。その後人気スターなどの豪華なウェディングケーキがメディアで取り上げられたこともあり、日本でも披露宴に欠かせない存在として、一般にも広まったのです。

シュークリームを積み上げて子孫繁栄を願うフランス式

シュークリームを積み上げて子孫繁栄を願うフランス式

フランスの代表的なウェディングケーキに、小さなシュークリームを飴がけして山のように高く積み上げたクロカンブッシュがあります。シュークリームの「シュー」はフランス語でキャベツという意味。欧米では「赤ちゃんはキャベツ畑から生まれてくる」といわれているので、そのシューをたくさん積み上げることで、子孫繁栄と豊穣を願ったのです。
 クロカンブッシュは洗礼式など結婚式以外の祝い事でも出されるもので、フランスで「ピエス・モンテ」と呼ばれる塔のように高い装飾菓子を代表するもの。高さが高いほど幸せになれるといわれています。日本の結婚式でも最近よく見かけるようになり、新郎新婦がシューを取って食べさせ合う「ファーストバイト」や、取りくずしたシューを招待客に配るなどの趣向も好評のようです。

アメリカ式の1段のケーキはアットホームな演出が人気

アメリカで多いのは、1段の大きなケーキに、チョコレートやクリームで文字や絵を描いたり、フルーツでデコレーションしたウェディングケーキです。イギリス式のウェディングケーキは、ケーキカットをする下の段以外はイミテーションのケーキを積み上げることも多いのですが、アメリカ式の場合は全部食べることができる生ケーキがほとんど。作り方がシンプルなので、新婦自ら手作りしたり、招待客がデコレーションをしたり、新郎新婦がカットして招待客に配るなどアットホームな演出を楽しめるのが魅力です。そんなところが、シンプルウェディングが主流の最近、イギリス式に代わって人気が高まっています。