\食育と栄養学/

食育と栄養学

正しい知識でこれからの毎日を楽しく #:150 2012.08.14更新 <監修: 医学博士 長野美根>

グルメのためのバナナ料理

世界中で栽培されているバナナの種類は、なんと300種以上もあるとか。私たちには皮をむいてそのまま食べる生食用が一般的ですが、他の国では、煮たり焼いたりする料理用バナナもたくさん食べられています。またバナナの花を、他の野菜と同じように調理している国もあります。日本でもたまに、アジア食材店などでお目にかかることのあるこれらの食材。おいしい調理法を知って、未知の味にチャレンジしてみませんか。

アジア通なら、もうお馴染みの屋台の味。

アジア通なら、もうお馴染みの屋台の味。

日本でもっともポピュラーなのは、キャベンディッシュ種などのデザート用バナナ。生食はもちろん、お菓子やドリンクでさまざまに活用されています。これに対して、カルダバ、サバ、ツンドクなどに代表される料理用のバナナがあります。これらは生食用のように甘くなく、デンプンが多いのが特徴。加熱するとお芋のようなホクホクした食感です。あくが強いので、切ったらすぐに酢水に浸けてさらし、下ゆでするとカレーや煮物、炒め物にも使いやすくなります。
 各国の料理用のバナナで作ったおやつには、油で揚げたものが多いようです。フィリピンの定番おやつで知られる「トゥロン」は、黒糖で甘味をつけたバナナを、春巻きの皮で巻いて揚げたもの。「バナナキュー」は串刺しのバナナに砂糖をからめて揚げた素朴なおやつで、いずれも屋台などで手軽に食べられます。ベトナムでは料理用バナナに米粉の衣をつけた揚げバナナが人気。シロップをかけたり、ナッツを散らしたりと、食べ方もいろいろです。またキューバ料理のトストーネは、半潰しにしたバナナをカリッと揚げた人気のスナック。軽食にもおやつにもOKというところは、さしづめ日本のイモ天といったところでしょうか。

バナナ・ハートを知っているなら、かなりのグルメ。

バナナ・ハートを知っているなら、かなりのグルメ。

バナナ・ハートとは、バナナの花のつぼみの通称です。赤紫色のつぼみは、フィリピンやインドネシア、タイなど、バナナの生産地なら普通にスーパーなどで野菜として売られているのです。つぼみの外側の皮をむいていくと芯が出てきます。これをあく抜きして火を通すと渋みが消え、しゃきしゃきとした歯ざわりが楽しめます。ちょっぴり竹の子のやわらかな部分に似ているような気もします。調理方法は国や地方によってさまざまですが、サラダや和え物にして、かすかなほろ苦さを味わうのもおすすめ。酸っぱいスープに入れたり、ココナッツミルク味に煮込んでも美味しく食べられますよ。日本では生のバナナ・ハートはあまりお目にかかりませんが、アジア食材店に行くと、水煮の缶詰(バナナブロッサム)が入手しやすいようです。
 最後にバナナの葉のお話も。さすがに葉は食べられませんが、調理器具としての役割をしています。東アフリカではバナナの葉に料理用バナナを包んで蒸した「マトケ」が主食。インドネシアの伝統食「テンペ」は、大豆をバナナの葉で包んで醗酵させますし、グァムやサイパンでよく目にする「アピキギ」は、ココナッツ味のお餅をバナナの葉に包んで蒸したお菓子です。大きなバナナの葉はいろいろな国の食文化を支えているのですね。
 アジアのグルメブームが続くなか、「バナナ」をキーワードにして、味覚の幅を広げてみてはいかがですか。