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歴史と雑学

果物と野菜に関するなるほどがいっぱい #:151 2012.09.04更新 <監修: 医学博士 長野美根>

エネルギーを燃やす褐色脂肪細胞って?

今や「ダイエット&ビューティー」が女性たちの合い言葉。さらに中高年層の健康志向も加わって、多くの人たちが日々痩せることに努力をしています。肥満の原因は至ってシンプル。摂取カロリーが消費カロリーをオーバーするからです。しかし、このオーバーしてしまう事情は人それぞれ千差万別で、いくら努力をしてもなかなか痩せることができないケースも多いのです。そんなとき、同じように食べて同じように体を動かしているのに、超スリムな人が身近に居ると、「それって、やせ体質?うらやましい~」と恨めしくなりますね。
 生まれつきのやせ体質って本当にあるのでしょうか? 最近では肥満遺伝子についての研究がすすんでいますが、同時にエネルギーの燃焼を促す働きを持つ褐色脂肪細胞も話題になっています。

褐色脂肪細胞ってなに?

肥満解消に悩むダイエッターにとって、この細胞の存在は注目の的。別名「ヤセ体質細胞」とも呼ばれている褐色脂肪細胞とは、そもそもどんなものなのでしょうか。
 褐色脂肪細胞とはその名のとおり茶色の脂肪細胞です。主に首や、わきの下、心臓や腎臓のまわりなど、限られた場所にしかありません。ふつう脂肪と言えば皮下脂肪などの白色脂肪細胞をさします。白色脂肪細胞が脂肪分を貯蔵し、エネルギーを蓄えるのに対して、褐色脂肪細胞には、脂肪分を分解して燃焼させる作用があるのです。もともとこの細胞は、体に備わった発熱装置ともいえるもの。冬の寒さなどで体温が下がった場合、蓄積してある脂肪を燃やして熱エネルギーを作り出す作用をします。
 褐色脂肪細胞を一番多く持っているのは赤ちゃんです。赤ちゃんは自分で衣服を着たり、暖房をつけたりの体温調節ができないので、一定の体温を保ち、体を守るための能力が備わっているのです。
 成人になるにつれて褐色脂肪細胞はどんどん減少していき、赤ん坊の頃の4割程度になるといわれています。
 またその働きには大きな個人差があり、活発に働く人は同じ量を食べても太らない、つまり「ヤセ体質の人」と呼ばれるわけです。褐色脂肪細胞の量の違いは遺伝によるものが多く、基本的に成人してからは増えません。しかしうまく活性化することができれば、少しでも多くエネルギーを燃やせそうです。

今すぐできる褐色細胞の活性化

今すぐできる褐色細胞の活性化

褐色脂肪細胞は体の限られた部分にしかなく、体温維持のため、低い温度で活性化するという特徴があるので、スポーツで活性化させるなら水泳がおすすめ。水泳は全身運動、有酸素運動でもあり、ダイエットへの近道です。水泳より手軽な方法なら冷水シャワー。入浴時に冷水と温水のシャワーを交互に30秒ぐらいずつ浴びて、これを5~6回繰り返すことで、褐色脂肪細胞にスイッチが入ります。ただし無理をせず、冷水も20度前後ぐらいから始め、ようすを見ながら続けてください。
 このようにわざわざ体を冷やさなくても、毎日手軽にできる方法もあります。それは食事をよく「噛む」ことです。食事のときの咀嚼の刺激が脳に伝わり、交感神経を刺激して、褐色脂肪細胞を目覚めさせます。その結果、褐色脂肪細胞は活性化し、体脂肪がエネルギーになるのを助けるというわけです。食事をゆっくり、よく噛んで食べると、脳の満腹中枢に作用して、食べすぎを防ぐことにもなるので一石二鳥。一口ごとに箸を置いてよく噛むことで、食後のエネルギー消費量の数字が上がったという実験結果もあります。
 どうせ「太る体質なのだから~」とあきらめないで、あなたも褐色脂肪細胞にスイッチを入れてみませんか。たとえ少しの効果でも、こうした運動習慣や食習慣を実行することは、どれも現代人の健康維持にはたいせつなことばかりです。