\食育と栄養学/

食育と栄養学

正しい知識でこれからの毎日を楽しく #:157 2012.12.04更新 <監修: 医学博士 長野美根>

水と料理の良い関係は

私たちはよく、水がいいからお茶がおいしい、ご飯がおいしいなどと話題にします。このように水のよしあしが飲み物や料理の味と深い関係があることは皆が体験的に知っています。では料理をおいしくする水には、どういう条件があるのでしょう。答えは簡単、「そのまま飲んでもおいしい水」です。それでは私たちがおいしいと感じる水はどういうものなのでしょうか。

水の味は何で決まるの?

水の味は、水の中に含まれるカルシウムとマグネシウムなどのミネラルの分量で決まります。これを数値化したものが硬度です。硬度が100以下なら軟水、100~300なら中軟水、300以上になると硬水に分類されます。硬度は水が染み込む地層や土地などで変わりますが、日本の場合はほとんどが軟水です。
 軟水は文字どおり口当たりがまろやかでやわらかく、飲みやすい水。また浸透が早く吸収しやすいので、新陳代謝を促して老廃物の排出を助けます。一方硬水は、くせがあって飲みにくいと感じる人が多いのですが、日本人に不足しがちなミネラルの補給に役立ちます。

水は自然のだし。日本料理には軟水がぴったり。

水は自然のだし。日本料理には軟水がぴったり。

伝統食や郷土料理などの、土地に伝わる料理がおいしいのは、その土地の水を使っているからです。料理をするには、だし汁はもちろん、洗う、ゆでる、冷やすなどのプロセスでもたくさんの水を使います。そもそも野菜などの素材も、その土地の水で育ったものが使われることが多いのです。和食に欠かせないだしも、軟水だと旨味成分がよく引き出せます。お米も軟水のほうがふっくらと、おいしく炊けます。日本はそのまま飲んでもおいしい「軟水」が豊富な国。自然と素材の風味を生かした料理や、素材そのものの旨味を引き出す調理法が多くなっています。それに対して硬水の多いヨーロッパや、沖縄の一部などでは、濃厚に味つけした煮込み料理や、スパイシーな調理法が発達しました。

硬水の得意ワザはあるの?

これまで、軟水のメリットばかりをお話してきましたが、硬水にも得意ワザはあるのです。たとえばシチューやポトフなどで、固い肉をじっくり煮るときは硬水がおすすめ。カルシウムがアク抜きを促して、肉を柔らかくしてくれます。また、パスタをゆでるとコシが強くなり、ピラフやチャーハンのようにパラリと仕上げたいときも硬水で炊いたお米が活躍します。紅茶も渋みが強い茶葉には硬水のほうが良いといわれ、紅茶通は軟水、硬水を上手に使い分けて楽しんでいるようです。
 私達は水道をひねれば、おいしい軟水が出るという生活に慣れていますが、硬水、軟水の他に、中軟水という選択肢もあります。いろいろなミネラルウォーターが手に入るなかで、この機会にそれぞれを使い分け、水と料理の良い関係を探してみませんか。