\食育と栄養学/

食育と栄養学

正しい知識でこれからの毎日を楽しく #:166 2013.04.16更新 <監修: 医学博士 長野美根>

ハチミツの甘いパワー

近頃ふえてきたおしゃれなハチミツ専門店。微妙に色の違う黄金色の瓶が、お店の棚にずらりと並んでいるのを見ると、まるでコスメショップのようです。私達が目にするハチミツの多くは、植物の花の蜜から採れる「花蜜」。レンゲやアカシヤ、ラベンターなど、瓶に書かれたラベルを見るだけでも甘い香りがするようで、なぜかうきうきしてしまいますね。
 ハチミツの歴史は古く、古代から人類は神聖な食べ物としてハチミツを愛好してきました。日本でも平安時代、宮中への献上品のなかにハチミツの記録がありましたが、広く普及したのは明治時代、西洋種の蜜蜂が輸入され、近代的な養蜂器具によって採取されるようになってからのこと。ですから食生活のなかでの歴史は意外と新しく、ハチミツの栄養とパワーについては、いろいろなことが分かってきましたが、他の調味料にくらべて、まだまだ日常的に使いこなせていないこともあるようです。

誰もが認めるハチミツのパワー

ハチミツは、蜜蜂が花などの蜜を体内の酵素で分解した天然の甘味料です。主成分はブドウ糖と果糖で、甘味料のなかでも消化吸収が早く、素早くエネルギーに変わるので、疲労回復にもスピーディーに役立つのです。ほかにもオリゴ糖が含まれていて、これは腸内に善玉菌をふやし、腸の調子も整えてくれます。
 また複数のビタミンを含み、血行を良くしたり、老化を予防するなどの働きをします。かのクレオパトラも美を保つためにハチミツを愛用していたというエピソードは有名ですが、その美容効果は、こうした栄養素の働きと、強い殺菌作用によるものでした。また抗ストレスビタミンと呼ばれるパントテン酸に加え、カルシウムをはじめとするミネラル類が作用して、イライラをしずめ、リラックスさせるパワーもあるのです。

ハチミツ上級者になって使いこなそう!

ハチミツ上級者になって使いこなそう!

このようにパワーいっぱいの高栄養食品ですが、いざ食生活に取り入れるとなると、ヨーグルトにかけたり、トーストに塗ったりとついワンパターンになりがち。もう一歩踏み込んで、ハチミツの種類を学べば、楽しみ方も広がるでしょう。花蜜には、ひとつの花から採れる単花蜜と、複数の花が混ざった百花蜜があります。日本人は単花蜜を好む傾向にありますが、欧米では、雑味があって気取らない百花蜜のほうが人気が高いそうです。
 ハチミツの色の違いは主にミネラルの量です。一般に薄い色のハチミツは食べやすく、色が濃くなるほど個性が強くなります。まず最初は、ポピュラーなレンゲやアカシアから始めましょう。薄めの黄色をしていてクセがなく、甘味の余韻が残ります。テーブルハニーとして、パンやヨーグルトにはもちろん、肉や魚料理の隠し味など、どんな食材にも合いますよ。ハチミツには肉を柔らかくする働きもあります。鶏のムネ肉の下味にハチミツを使って焼けば、ムネ肉とは思えない柔らかさに。
 レモンやオレンジなどの柑橘系、木イチゴやブルーベリーなどのベリー系、ラベンダーやタイムなどのハーブ系は、さわやかな香りを生かしてデザート作りや紅茶、ドレッシングなどに最適。ねっとりと濃厚なマヌカハニーは、コーヒーやミルクに溶かしたり、リップクリーム代わりに使ってもよいでしょう。栗やアーモンドなどのナッツ系になると色も濃く味も個性的。やや上級者向きですが、チーズに合わせてワインを楽しむ人も多いようです。何種類もの花蜜が自然にブレンドされた百花蜜は、濃厚な花の香りがいっぱい。産地や季節、メーカーなどでも全く味わいが違うので、いろいろ試してみるのも楽しいでしょう。