「ドールバナナ」の使命と夢 株式会社ドール 取締役副社長 渡辺陽介

渡辺陽介 YOSUKE WATANABE

昭和42(1967)年、東京都生まれ。平成4(1992)年、英国リッチモンド大学経済学部卒業後、株式会社ドールへ入社。営業本部東日本担当部長、マーケティング部部長を経て、平成19(2007)年に取締役副社長を経て、平成24(2012)年に代表取締役社長に就任し、現在に至る。

「ドールバナナ」、高品質の4原則

「ドールバナナ」は、スタンダードな商品はもちろん、
スポーツに最適な「ラカタン」などの個性派バナナなど、
消費者の多様なニーズに応えるプロダクトミックスを実行しています。
種類は豊富にありますが、すべてのバナナに共通するのは、「高品質である」ということです。
ドールが考える「高品質」とは、「鮮度」「味」「法令遵守」「環境配慮」の4つを満たしていること。
その基盤となるのが、産地との密接なコミュニケーションによって需給のバランスを
最適に保つといった連携体制です。ドール社員をはじめ、生産者や加工業者、卸売会社など、
生産から販売まで皆が同じ目標を持ち、努力し続ける。
高いチームワークは、私たちの大きな強みの一つです。

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品質向上へのヒントは、小売店やお客様の声から

私たちが目指す、真の「高品質」とは、たゆみない企業努力によってのみ実現すると考えています。
そのため、私たちは売り場でのバナナの品質や取扱状況、
消費者の反応などをフィードバックして商品開発や改善に生かす、
「フィールドマーチャンダイジング」を基盤にして、さまざまな取り組みを行っています。
例えば、従来は各小売店で行われていた、
バナナを小房に分けて袋詰めにした状態である
「CP(コンシューマーパック)」をつくる作業を、
収穫直後の生産地で行う取り組みや、
輸送に使用していた段ボール箱である「カートン」に代わる、
再利用が可能な折り畳み式コンテナ「クレート」を導入するなど、
スーパーマーケットなどの小売店のコストと手間の削減に努めました。
また、バナナの追熟加工においても改革を起こしました。
かつては青い未成熟な状態で陸揚げされたバナナを、加工業者に販売して終わりという、
いわば「原料供給」のような形をとっていましたが、業者ごとの加工方法の違いによって、
店頭に並んだ時の品質に差が出てしまっていました。それを改善するために立ち上げたのが、
フレッシュシステムという加工会社です。最新の技術を用いてハイクオリティの加工を実現し、
全国どこでも同じ品質の「ドールバナナ」を届けられるようになりました。

  • 赤いクレートに入れられた「ドールバナナ」のCP(コンシューマーパック)。 青バナナの状態で袋に詰められる
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新しいおいしさ、「高地栽培バナナ」の誕生秘話

フィールドマーチャンダイジングの成果は、
「高地栽培」という新しいバナナのカテゴリーを確立したことにも表れています。
フィリピンバナナ以前に市場の主流だった台湾バナナの甘さは、消費者の記憶に色濃く残るものでした。
その甘さを懐かしむ人たちの声をヒントに、私たちドールは、
糖度の高い、新しいバナナの開発をスタートさせたのです。
それまで、バナナの大半は低地で栽培されていましたが、海抜500m以上の高地で栽培すると、
昼夜の寒暖差によって糖度が高くなるということがわかってきました。
私たちは、数ある品種の中から最も適したものを選び抜き、
フィリピンの山を開拓して農場をつくるなど、5年にわたる研究開発やテストマーケティングを経て、
平成12(2000)年に高地栽培バナナ「スウィーティオ」の販売を開始しました。
開発の中で特に苦労したのが、バナナを山の中にある農場から港へ運ぶ仕組みの整備です。
海抜の低い平地では、収穫されたバナナは大きな洗化場へ集められ、水洗いしてCPを施し、
さらに箱詰めするという出荷作業を、効率的に、鮮度を保ちながら行うことができました。
しかし、山につくった道路は幅員が狭くて大きなトラックが入っていけず、港からも遠かったため、
運搬に時間がかかって鮮度が落ちやすいという難点がありました。
そこで、収穫されたバナナはすぐに現地で箱詰めまでを行い、そのタイミングに合わせて
小さなトラックで小分けにして港に運ぶ、という方法をとったのです。
細かい連携が必要な作業を定着させるまでには、非常に時間がかかりました。

  • フィリピンのパッキング場。
    小房に分けたバナナの重さを量る作業の様子
  • 収穫前の「ドールバナナ」。産地のフィリピンでは、バナナの花を摘む 作業や虫を防ぐための袋がけなどの作業がていねいに行われている
  • 消費者のさまざまなニーズに応えることを目指す「ドールバナナ」。
    写真は高地栽培バナナの「スウィーティオ」
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「指名買い」されるバナナを目指して

私たちは、店頭を基点としてTV CM、WEB、SNS、新聞、雑誌などのメディアを連動させて
キャンペーンを展開するメディアマーケティングミックスを行い、
「ドールバナナ」のブランドとしての認知度や特性理解の向上に努めてきました。
「スウィーティオ」もその一つであり、青果業界では前例の少ないTV CMを含める広告展開や
店頭プロモーションなどを通じて、高地栽培バナナの特徴やおいしさを広く認知してもらうことに
尽力しました。このTV CMは、平成15(2003)年には「CM好感度白書」で
「ベスト・アドバタイザー2003」を受賞、多くの消費者に支持していただくことができました。
また、お客様相談室の設置のほか、仕入先や販売先、生産・製造方法などの記録を取って
保管する「トレーサビリティ」も、青果業界の先駆けとして導入しました。
これにより、いつ、どこで収穫し、パックされたかなどを把握することができ、
万が一品質に問題が発生した場合には、記録をさかのぼって原因を改善できるようにしたのです。
さらに近年では、消費者との相互情報交換の場としてドールコミュニティサイトを立ち上げ、
ニーズの把握と商品開発・改善に活用しています。
そして、CSR活動にも力を入れています。代表的なものとしては、
一都三県の幼稚園・保育園を巡回して食育啓発活動を行ったり、
各都道府県で「環境保全」「教育推進」「文化保護」などをテーマにした
商品ブランド開発や商品提案を、その地域の顧客様や行政と一緒に推進したりといった活動です。
これらの取り組みはすべて、ドールそのもの、
あるいは「ドールバナナ」への理解を深めていただくという目的のもと、実施しています。
値段で選ぶのではなく、ドールのバナナを「指名買い」して頂ける消費者を
増やしていきたいと考えています。

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広がる、バナナの無限の可能性

少子高齢化が進み、人口が減少していくであろう日本でバナナの消費量どう増やしていけるかは、
業界全体として避けることができない課題です。
バナナはその手軽さから、朝食、あるいはおやつとして食べられていることが
圧倒的に多いのが現状ですが、メインディッシュとして食す新しいバナナの食べ方や
商品を提案していくことが、私たちの次のチャレンジです。
食シーンの拡大だけでなく、化粧品やリラクゼーショングッズなど、
業界の枠を越えた新たな商品開発も考えられ、バナナはまだまだたくさんの可能性を秘めています。
まだ見ぬ新しいバナナの力を、画期的な発想で形にしていく。
それが私たちの使命であり、夢なのです。

  • 朝食シーン以外でのバナナの可能性にも取り組むドール。
    これまでとは違う食べ方や新たなバナナ素材を使った商品開発に力を入れている

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