ナタデココはフィリピン発祥で、スペイン語で「nata de coco」と表記されます。「ナタ」は皮膜を意味し、「ナタデココ」を直訳すると「ココナッツの上澄み皮膜」という意味です。歯応えのある食感が特徴で、飲み物やデザートに使われています。
目次
ナタデココにはバナナとパイナップルが相性抜群!

ココナッツから作られているナタデココは、南国のフルーツであるバナナやパイナップルなどの甘みや酸味のあるフルーツと相性がよい食品です。
ナタデココとは?
ナタデココはココナッツ水にナタ菌を加えて発酵させて固めたものです。日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、ナタデココ100gあたりのエネルギーは80kcal、脂質0g、食物繊維0.5gと、カロリーや脂質が低いのが特徴です[1]。
日本にナタデココが上陸したのは1970年代。長く業務用として食されていましたが、1993年ごろにファミリーレストランのメニューから家庭用に広がり、大ブームが起きました。現在は、ヘルシーなスイーツとして、再びナタデココが注目を集めています。
ナタデココを食べる際の注意点
さわやかな甘みのナタデココはついついたくさん食べてしまいがちですが、甘いシロップに漬けられているため、食べ過ぎはカロリーの過剰摂取になりかねません。また、食物繊維が含まれるナタデココの食べ過ぎは消化不良の原因にもなりえます。
コリコリした食感が魅力ですが、発酵を利用して作られているため、かたさに差がある場合があります。特に幼児や高齢者などはのどにつまらせないように、よくかんで食べましょう。
また、ココナッツが原料となっているため、初めて食べる方はアレルギー反応にも注意してください。
発酵食品とは?

体によいイメージがある発酵食品。実は身近にもたくさんの発酵食品があり、1日一度は口にしているかもしれません。そんな発酵食品について詳しくお伝えします。
発酵食品とは?
発酵食品とは、微生物の働きによって食材の味や栄養価が変化した食品のこと。腐敗と発酵は紙一重で、人にとって有益なものが発酵です。和食に欠かせないみそ、しょうゆ、酢などの調味料のほか、チーズやヨーグルトなど西洋発祥の食材にもあります[2]。
数千年も前から発酵食品はあり、日本でも保存食として活用されていました。
また、保存食というだけでなく、発酵によって旨味や栄養価がアップしたり、消化吸収がよくなったりするなど、体にとってうれしい働きがあります。近年ではコロナ禍をきっかけに、免疫機能に関わる腸の健康維持に発酵食品が役立つとしてより注目が集まりました。
発酵食品を作る「ナタ菌」とは
ナタデココは、ココナッツ水にナタ菌を加え、発酵させたものです。発酵が進むことで、ナタ菌がセルロースとよばれる食物繊維をつくりだし、ココナッツ水の表面に柔らかく弾力のある膜ができ、これがナタデココになります。ナタ菌はあまり耳にしない菌ですが、お酢を作るときに使われる酢酸菌の一種です。酢酸菌はアルコールをお酢に変化させる微生物で、梅やぶどうなどにも存在しています。
発酵食品に使われる微生物は他にも麹菌、酵母、乳酸菌、納豆菌があります。
・麹菌
「国菌」として認定されており、日本の食卓に欠かせない菌で、みそ、しょうゆ、甘酒などを作り出します。
・酵母
酵母は糖をアルコールと炭酸ガスに分解する微生物で、お酒やパンの製造に使われています。
・乳酸菌
乳酸菌飲料としておなじみの乳酸菌は、糖を分解して乳酸を作り出します。乳酸にはpHを下げる働きがあるので、酸味が出るとともに食品の保存性を高めます。
・納豆菌
納豆菌は名前の通り納豆作りに欠かかせない菌です。煮た大豆に納豆菌を加えることでアミノ酸を生成し、納豆になります。強い菌なので、パンの製造現場や酒蔵に持ち込みを禁止されることもあります。
ナタデココとバナナ、パイナップルとの相性

コリコリした食感のナタデココにはなにを組み合わせて食べたらよいのでしょうか? ヒントはナタデココの主原料である、南国のフルーツのココナッツ。おすすめのフルーツをご紹介します。
バナナとパイナップルがナタデココと相性抜群な理由とは?
甘さが控えめなナタデココとコクのある甘さのバナナは相性抜群です。バナナのねっとりした食感は、ナタデココの食感を引き立たせます。よりさっぱりいただきたい場合は、甘酸っぱいパイナップルとナタデココの組み合わせがおすすめです。ココナッツから作られるナタデココはこのような南国のフルーツによく合います。
バナナとパイナップルに合う、ナタデココのおすすめレシピ
ここではナタデココを使ったレシピを紹介します。濃厚な甘さのバナナ、甘酸っぱいパイナップルはどちらもナタデココと相性抜群。簡単なデザートを作ってみましょう。

ナタデココとバナナのレシピ
・ココナッツのチェー

チェーとはベトナムのスイーツです。
ココナッツミルクに砂糖と牛乳を加えて、火にかけて砂糖を溶かします。砂糖が溶けたら冷蔵庫で冷やし、食べやすい大きさにカットしたバナナとナタデココを加えてください。分量はお好みでOKです。簡単にできるのでぜひ試してみてくださいね。
ナタデココとパイナップルのレシピ
・ナタデココとパイナップルの寒天ゼリー

缶入りのナタデココとパイナップルを使えば、砂糖を使わなくても缶に入っているシロップで美味しいゼリーができます。どちらも缶詰を1缶ずつ用意し、中身とシロップを分けておきます。
シロップに粉寒天を加えて煮て、容器に入れてナタデココとパイナップルを加えて冷やし固めてください。寒天で作ると透き通ったゼリーができます。
バナナやパイナップル以外のおすすめの組み合わせ

クセがないナタデココはいろいろな食材と組み合わせて楽しむことができます。定番のヨーグルト以外にも組み合わせると美味しい食材についてご紹介します。
意外な組み合わせも? ヨーグルトはもちろん、紅茶、キウイにもぴったり!
・ヨーグルト
牛乳を乳酸発酵させて作られているヨーグルト。さわやかな酸味のあるヨーグルトにナタデココはよく合います。
・紅茶
ナタデココはドリンクに入れても美味しく楽しむことができます。さわやかな味わいの紅茶はナタデココを入れるとデザートドリンクとしてもおすすめです。お好みでレモンを加えてレモンティーにすると、より一層さわやかな味わいになります。
・キウイ
キウイの甘酸っぱい味とナタデココは好相性。そのまま食べても、サイダーなどに入れてフルーツポンチにしても美味しくいただけます。
ナタデココと一緒に食べると美味しい、おすすめのフルーツ
クセがなくてコリコリした食感がアクセントになるナタデココはいろいろなフルーツと合いますが、特におすすめなのはパイナップル以外にも、みかん、キウイなど酸味のあるものです。さっぱりとした味で間食はもちろん、食後のデザートにもぴったりです。
まとめ

ココナッツを主原料とした発酵食品のナタデココ。そのまま食べてもヨーグルトやドリンクに入れても美味しく、さまざまな食べ方ができるのが魅力のひとつです。カロリーや脂質が少なくて食物繊維を含むヘルシーなナタデココ、ぜひ楽しんでくださいね。
参考文献
[1] 文部科学省, “食品詳細 果実類/ココナッツ/ナタデココ”. 食品成分データベース【出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年】. https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07170_7, (参照2024-09-19).
[2] 農林水産省, “「発酵」の不思議 aff 2022年11月号”, 農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2211/spe1_01.html, (参照2024-09-19).

中村りえ(なかむらりえ) /管理栄養士
食品メーカーで商品開発、健保組合でセミナーの企画や広報に携わり、独立。レシピ開発、コラム執筆、メディア出演など幅広く活動中。日本人の米離れの深刻さを学んだこともあり、米食の素晴らしさを伝えるべく米粉や米食レシピを発信する。著書「米粉のおやつとおかず」、「まいにち食べたい 体にやさしいお菓子」(宝島社)