Dole

冷蔵庫に入れたバナナが真っ黒に…それでも食べられる? ― Doleのバナナ担当者に聞きました!

スーパーで買った黄色いバナナを冷蔵庫に入れておいたら、いつの間にか真っ黒に…。思わず「もう食べられないかも」と捨ててしまった経験はありませんか? でも実は、皮が黒い=食べられない、ではないのです。今回は誰よりもバナナを愛するDoleのバナナ担当、新美さんと森口さんに「皮が黒いバナナの正体」についてじっくり解説していただきました!

お話をしてくれたのはこの方々
株式会社ドール バナナ部の新美さんと森口さん

左:新美 博之(にいみ ひろゆき)さん 株式会社ドール 生鮮第一本部 バナナ部
右:森口 智浩(もりぐち ともひろ)さん 株式会社ドール 生鮮第一本部 バナナ部

皮が黒いバナナは食べられる? 酸化の仕組みを解説!

――まずは一番気になるところから。バナナの皮が黒くなるのは、どういう仕組みなんでしょうか?

新美 バナナの皮が黒くなる主な原因は「酸化」です。皮の中の成分が空気中の酸素と反応して色が変わっていきます。見た目には黒色に見えますが、実際には茶褐色で、「褐変化(かっぺんか)」と呼ばれています。熟して皮が黄色くなると、細胞自体の構造が緩んできて壊れやすくなり、中の成分が漏出します。これが酸素と反応して、皮の色が黒くなるんです。

――バナナが熟してくると皮に黒い斑点(シュガースポット)が出てきますよね。これも酸化反応なんですか?

新美 はい。同じ要因です。

――では、皮に傷がついたときに黒くなるのは?

新美 それも酸化です。細胞が傷つくと中身が漏れ出し、酸素と触れることで酸化反応が起きます。

森口 少し専門的に説明すると、細胞内にあるポリフェノール*と空気中の酸素がポリフェノール酸化酵素の働きで酸化され、茶褐色に変化します。傷の付き方や熟度、バナナの保存環境によって現れ方に違いはあっても、基本的な仕組みは一緒です。

*ポリフェノール…ほとんどの植物に含まれる苦味や色素の成分

―あの色はポリフェノールが作用しているんですね!

新美 そうです。ですから、バナナの実の部分は問題ないのに皮の色だけが黒くなるのは、腐敗ではなく、あくまで自然の反応なんです。

バナナ部の新美さん

――なるほど。だから、バナナの皮が黒くなっても、中身に問題なければ食べられるということですね。バナナを冷蔵庫に入れても皮が黒くなりますが、それも同じ仕組みですか?

新美 そうです。バナナはもともと温かい環境を好む果物なので、冷たい場所に置かれると細胞がダメージを受けて死んでしまいます。その結果、酸化反応が進んで皮が黒くなるのです。いわゆる「低温障害」ですね。

――結局はどのケースも酸化が関わっている、と。

新美 はい、全部同じ酸化のプロセスです。

バナナの皮の色はどう変わっていく?

バナナの皮が黒くなる仕組みが「酸化」によるものだと分かったところで、皮の色と熟度の関係をもう少し詳しく見ていきましょう。Doleでは、バナナの皮の色と熟度を段階ごとに示す「カラーチャート」を使っています。

バナナカラーチャート

――スーパーに並んでいるバナナは、だいたいどの段階ですか?

新美 5の「グリーンチップ」くらいですね。

――この中で一番甘みの乗った完熟状態というのは?

森口 7の「スター」です。買ってから常温でだいたい2~3日置くと、完熟の証であるシュガースポットと呼ばれる黒い斑点が出てきます。

――熟度の進みを皮の色で見分けられるのはとても便利ですね。

新美 そうですね。目安にしてもらうと、好みの熟度で食べられると思います。

――ここにある「トラバナナ」や「クロバナナ」というのは?

新美 トラバナナは「もったいないバナナ」のことです。産地で皮に傷が付いてしまい見た目は悪いですが、中身は問題なく食べられる。見た目がちょっとトラ模様っぽいということで「トラバナナ」と呼んでいます。「クロバナナ」は、そのトラバナナの一部を炭にして、バーベキュー用の燃料として利用しています。脱臭剤としても現在開発中です。どちらもフードロス削減のためのDoleの取り組みです。

「もったいないバナナ」についてはこちら!

――傷が付いた「トラバナナ」にしろ、熟したバナナにしろ、皮が黒いから「もう食べられない」と判断するのは、確かに“もったいない”ですね。

新美 皮の色はあくまで表面の変化。中身の状態を見極めることが大切です。

実験! 冷蔵庫保存でバナナの皮の色はどう変わる?

――ここに、たいぶ黒くなったバナナがあります。これはどんな状態のバナナなんでしょうか?

購入後、冷蔵庫で2週間保存したバナナ

新美 購入後、冷蔵庫で2週間保存したバナナです。皮は真っ黒になっていますが、中身はこの通りきれいな状態で、まだ食べることができるんですよ。

黒いバナナの皮を剝いたところ

――見た目は完全に「ダメそう」ですが、実際には食べられるんですね! この状態に至るまでにどんな経過をたどったのでしょうか?

新美 購入後1日置いて黄色くなったバナナを冷蔵庫に入れて実験しました。1週間後には乾燥傷や黒い点(ピッティング)が出ましたが、中身は問題なくおいしく食べることができました。

購入から8日後のバナナ(冷蔵保存)

新美 さらに1週間経つと、皮が全体的に真っ黒になりました。

購入から14日後のバナナ(冷蔵保存)

――購入から2週間で、だいぶ黒くなっていますね。この状態でも食べられると…?

森口 はい。味や食感は多少落ちていましたが、まだおいしく食べられました。ただ、首の部分が取れたり皮が割れたりして中身が露出している部分は、衛生面を考慮して食べないことをおすすめします。

※バナナの熟度や個体差、冷蔵庫内の温度変動・湿度などの保管環境によっては、同様の保存期間でも品質が劣化する場合があります。ご購入後はできるだけお早めにお召し上がりいただくことをおすすめします。

――ちなみに、常温だと購入後2~3日で完熟するというお話でしたが、冷蔵庫に入れた場合はどうなるんですか?

森口 バナナは低温状態になると実を甘くする酵素がうまく働かなくなります。なので、甘いバナナがお好きな方は、購入後常温で2~3日置いて完熟状態にもっていってから冷蔵庫で保管すると、皮は黒くなりますが、甘い状態のバナナを長く楽しめますよ。

バナナ部の森口さん

――冷蔵庫に入れることで、食べ頃を長くキープできるわけですね! 冷蔵庫で保存する場合、注意すべきポイントはありますか?

森口 バナナを袋から取り出してビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に置くと乾燥が抑えられます。新聞紙で包むのも有効です。

皮が黒くなったバナナのおすすめ活用方法は?

――完熟を過ぎたバナナや、皮が真っ黒になって味が落ちてきたバナナはどう使うのがおすすめですか?

森口 スムージーやバナナジュースにするとバナナの甘さを生かせますし、食感も気にならなくなります。個人的なおすすめは、カレー。カレーに加えるとまろやかになって、意外に合うんですよ。

新美 お菓子作りにも向いています。パウンドケーキに混ぜ込むとバナナの自然な甘さが出て、おいしいですよ。

実際にDole公式サイトでも、黒くなったバナナを活かせるレシピを多数紹介しています。スイーツからドリンクまで幅広くアレンジできるので、ぜひチェックしてみてください。

スムージーやバナナジュースに

簡単! 濃厚バナナジュース
美味しさのポイントは生のバナナと冷凍バナナのW使い! とろりとした舌触りと濃厚な甘さを堪能できるリッチなジュースに仕上がります。

カレーに加えて!

やみつきバナナカレー
バナナを入れることで、カレーに深みとフルーティーさが加わります。辛めのカレールウを使うのがポイントです。

お菓子作りに!

チョコバナナブレッド
バナナを3本使って! 板チョコとホットケーキミックスで作る簡単バナナブレッドです。

1年かけて育てられたバナナ、最後までおいしく食べ切ろう!

バナナ部の新美さんと森口さん

――最後に、読者へのメッセージをお願いします!

森口 皮が黒くなったからといって、バナナを捨ててしまうのはもったいないことです。中身には問題がない場合が多いため、フードロスを減らすためにも、工夫して最後まで食べていただきたいですね。

新美 バナナは植え付けから収穫までに1年ほどかかります。大切に育てられたバナナですから、見た目だけで判断して捨てることなく、最後まで味わっていただければと思います。


皮が黒くなるのは「酸化」という自然な反応。熟度や保存環境によってその現れ方はさまざまですが、皮が黒いバナナ=食べられない、とは限りません。保存方法を工夫すれば長持ちし、熟した味わいを活かせば新しいおいしさにも出会えます。ぜひ最後まで無駄なく使い切ってください!

※記事の情報は2025年10月10日時点のものです。