Doleの知られざるお仕事と、その現場で働く人たちにスポットを当てるシリーズ。
毎日スーパーに並ぶ黄色いバナナ。けれど日本に届くとき、実は、バナナはまだ青い状態なんです。そのバナナを、店頭でちょうどよく色づいた状態で販売できるように動いているのが、ドールの「荷回し」担当者たちです。そこで、ドール営業本部SCM部で荷回しを担当するおふたりの1日の仕事に密着。バナナが日本に到着してから生活者のみなさんの手に届くまでの、見えない舞台裏をご紹介します。
お話をしてくれたのはこのおふたり
林部 仙(はやしべ たかし)さん
株式会社ドール 営業本部SCM部 主任 勤続年数:6年
伊藤 優花(いとう ゆか)さん
株式会社ドール 営業本部SCM部 勤続年数:5年
目次
バナナの「荷回し」って、どんな仕事?
バナナの「荷回し」というと聞き慣れない言葉ですが、一言で例えるならどんな仕事なのでしょうか?
イメージとしては芸能人のプロデューサーやマネージャーのようなポジションです。青い状態で日本に入ってきたバナナを、お店で“デビュー”できるように、港や追熟加工施設の方と連携しながら、黄色く熟した甘いバナナにしてもらい、売り場に送り出せるよう日々の出荷を管理しています。
そもそも日本に輸入されたばかりのバナナが青い状態なのは、一体なぜでしょう?
バナナは黄色く熟すと甘い香りが出てしまい、産地の虫がついてしまうため、青いまま持ち込む決まりになっています。そして日本に着いたあと、『室(むろ)』と呼ばれる加工施設で追熟させるんです。
室では24時間体制でエチレンをかけたり、温度や湿度を調整したりしてバナナを黄色く甘い状態に追熟させていきますが、どのタイミングでどれくらいの数のバナナを室に入れるか、といった調整を私たちが行っています。バナナは一日単位で刻々と熟度が変わるので、スピード感が大事です。

室と呼ばれる加工施設にバナナを入れているところ
スーパーに並んだ状態でバナナを見ると、同じような黄色に見えますが、実はお店ごとに微妙な違いがあるといいます。
「お店に長く置いて売るので青みが残るくらいがいい」とご要望をいただくこともあれば、「1日で売り切る想定なのでしっかり黄色くしてほしい」といったご要望もあります。そのためバナナにはカラーチャートがあって、どの色で納品するかをお客様ごとに確認し、それに応じて熟成の管理を行います。
また、バナナの種類によって黄色くなるまでの日数も異なるため、それも踏まえて指示を出します。

営業担当からは、全国のスーパーが1週間から10日ほど先に必要とする数量の見込みが共有されます。荷回し担当はそれをもとに、いつ、どれくらいのバナナを室に入れるかを決めていきます。そのうえで、どのスーパーに、いつ、何ケース、どんな色のバナナを届けるかを管理し、実際の受注に合わせて出荷を調整していきます。計画通りにいかないことも多いので、その都度対応していくのも仕事の一つです。
では、具体的に毎日どのような流れで仕事をしているのでしょうか。1日の業務に密着してみました!
9:05|在庫と受注を見て「全体をつかむ」時間

朝いちばんは、在庫状況の確認からスタート。
私たちのチームはシフト制なので、昨日と今日で担当者が同じとは限りません。なので、まずは前日の在庫状況や受注の動きを確認するところから始まります。
在庫に余裕があるのか、ちょうどいいのか、それともギリギリなのか。今日・明日に出荷できるよう黄色くなったバナナと、これから室に入れていく青いバナナ、その両方の在庫と注文数、入出庫の計画を見ながら判断しています。あわせて、朝イチで出荷するバナナの受注データもチェックします。
品質確認のために、倉庫からバナナの写真が送られてくることもあるので、その状態もよく見ています。
在庫はバナナの販売・在庫管理専用システムで確認します。「スウィーティオバナナ」、「低糖度バナナ」、「極撰バナナ2本パック」など商品の規格ごとに管理表があるので、それを一つずつ見ていきます。
全国で1日2万ケース規模(約50万袋)が動くことも。エリアごとに担当者が分かれていて、土日や年末年始も含めて必ず誰かが稼働している体制です。
11:40|営業や現場と連携し、計画と実態をすり合わせる

この時間帯は、営業担当や港、室と連携しながら販売計画と実際の状況のずれを埋めていく時間です。
午前中は、営業担当とやり取りをしながら、販売計画を在庫表に反映したり、追加のリクエストに対応したりしています。
また社外では、青いバナナを管理している港の方や、バナナを熟成させる室の方と、出荷数量などについて電話やメールでやり取りをしています。
ただ、計画通りに進まないことも少なくないそう。
農産物なので、1年を通して何かしらハプニングは起きます。産地からの入荷数が増えたり減ったり、受注が想定以上に伸びたりすることも。そうしたときは、状況に応じて調整します。
在庫が余りそうなときは、室で少し冷やして熟成の進みをゆるやかにするなど微調整をしてもらいます。逆に足りないときは、サイズ違い、種類違いのバナナを営業担当を通じて提案することもあります。
バナナは、牛乳や卵のように日々の暮らしに身近な食品なので、安定してお届けできるよう努めています。その供給を調整し続けることが、この仕事の難しさでもあります。
15:30|想定外の事態にも対応しながら、状況を調整

午後は、イレギュラーな状況への対応や、翌日以降の調整が中心となります。現場では想定外の出来事が起こることもあり、これまでにもさまざまなトラブルがあったといいます。
印象に残っているのは、カムチャッカ半島での地震と台風が重なり、関東の港から北海道への輸送船が止まってしまったときです。東京の埠頭からフェリーで運んでいるのですが、そのルートが止まってしまい、北海道にバナナを届けられない状況になりました。そのときは、バナナが無駄にならないよう営業担当と相談して関東など別のエリアに振り分けて出荷して対応しました。
コロナ禍でのコンテナ不足によりバナナを運んでくる船のスケジュールが遅れ、在庫の不足に対応したり、大雪・台風の影響で配送が止まったり、冷凍庫トラブルでバナナが凍ってしまったこともありました。そんなさまざまな状況の中で、配車の調整をして頂いている運送会社の方々や顧客へ説明をする営業部員には、本当に感謝しています。
こうしたトラブルに備え、日頃からさまざまな準備も行っています。
例えば船の到着が1日遅れるとなった場合に、在庫が足りるのか足りないのかをシミュレーションします。足りない場合は、どう対応するかを営業担当と相談しながら決めていきます。
また、先々の天気(日本だけでなく産地の天気)や、時期やイベントによる受注の傾向、お客様ごとの好みをインプットすることも大切です。日持ちしない生ものを扱うため、よりタイムリーに対応できるように心がけています。お店ごとに取り扱っているバナナや注文の傾向も頭に入れておくことで、イレギュラーなことが起きたときにも対応しやすくなります。
手作業の業務も多いので、なるべく自動化して、より確実な管理ができるよう、ツールやシステムの開発にも取り組んでいます。
16:50~|翌日に向けて、最終チェック

1日の終わりは、翌日の出荷に向けた確認と引き継ぎを行います。
港や加工場、配送会社と連動して動いているので、処理がきちんと終わっているか、漏れがないかをチェックします。それから、次の日の担当者がわかりやすいように情報を共有して、在庫表を整理しておくのも大事な作業です。チームで動いているので、情報共有は欠かせません。
トラブルがなく、理想的なタイムスケジュールで終われた日や、青いバナナも黄色いバナナも在庫状況がすっきりしている日は、今日も1日うまくいったな、と思います。
こうして黄色いバナナは、食べる人の手元に

毎日スーパーに並んでいるバナナの裏側には、こうした「荷回し」担当者の日々の調整が積み重なっています。
店頭でドールのバナナを見ると、“今日も元気に並んでいるな、おいしく食べてもらうんだよ”と思ってしまいます。産地から日本のスーパーに並ぶまでには、30,000人以上の人が関わっています。このチームワークがあるからこそ、産地から売り場までつながるリレーが成り立っています。生活者のみなさんにとってバナナが身近な存在になっているのも、そのおかげだと思いますし、そのリレーの一端を担えていることをうれしく思います。
スーパーで見かけるいつもの黄色は、自然にそこにあるのではなく、たくさんの人たちが携わることよって「ちょうどよく届いた色」なのです。
※記事の情報は2026年6月23日時点のものです。

