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冬の元気は腸から。バナナでおいしく整えよう!

冬は体調を崩しやすい季節。健康的に過ごすには、体を守る機能を整えることが大切です。そんな冬に、手軽に取り入れやすいのがバナナです。おいしく続けられる理由を、管理栄養士の森由香子先生に教えていただきました。

教えてくれたのはこの方

森由香子先生のプロフィール写真

森由香子(もり ゆかこ)さん

管理栄養士・日本抗加齢医学会指導士
東京農業大学農学部栄養学科卒業、大妻女子大学大学院(人間文化研究科 人間生活科学専攻)修士課程修了。管理栄養士として医療機関をはじめ幅広い分野で活動中。管理栄養士・日本抗加齢医学会指導士の立場から食事からのアンチエイジングを提唱し、「かきくけこ、やまにさち」®食事法の普及につとめている。東京都内クリニックで栄養指導、食事記録の栄養分析、フランス料理の三國清三シェフととともに病院食や院内レストランのメニュー開発、料理本制作の経験をもつ。

なぜ冬場は体調を崩しやすくなるのか?

風邪をひいた人

冬に体調を崩しやすくなる理由はいくつかあります。1つめが、外気が冷たくなるせいで体温が下がり、血流が悪くなるためです。免疫細胞の代表である白血球は、血流にのって体内を移動し、ウイルスなどを攻撃して病気から体を守る働きを担っています。血流が悪くなるとその働きが衰え、感染症にもかかりやすくなるのです。

2つめは、湿度の低下による、鼻や喉の粘膜の乾燥です。粘膜が乾燥するとウイルスや細菌が侵入しやすくなり、感染のリスクが高まります。

3つめは、寒さによる運動不足。寒くなると体を動かすのが億劫になって運動不足になりがち。すると血流が悪くなって白血球の働きも弱くなり、免疫機能の働きに影響するといわれています。また、運動不足は筋肉量の低下も招きます。筋肉は体で熱を生み出す最大の器官なので、減ると体が冷えて防御機能の低下につながるのです。

4つめは、自律神経の乱れ。自律神経には体温を調節する働きがありますが、冬は外の寒さと室内の暖房による暖かさの寒暖差が大きいので、自律神経が乱れやすくなり、その結果として体調への影響も懸念されます。

5つめは、日照時間の減少によるビタミンD不足。ビタミンDには健康維持に関わる働きがあります。ビタミンDは食品から摂取できるほか、日光を浴びることで体内でも生成されます。しかし、冬は日照時間が短いため生成量が減り、体の防御機能が弱まる可能性があるといわれています。

腸は体の防御の最前線

腸は体の防御の最前線

体の免疫細胞の約70%は、小腸や大腸の腸管に集まっていると言われています。腸は、食べ物だけでなく、口から侵入したウイルスや病原菌が侵入してくる場所なので、それらをブロックするために免疫細胞が集まっていて、体を病気から守っているのです。

腸管の免疫細胞を正しく働かせるためには、腸内環境を良好に保つことが大切です。

腸内環境が免疫機能の働きを大きく左右する

腸内には、体によい働きをする有用菌(善玉菌)と、悪影響を及ぼす有害菌(悪玉菌)、どちらにも変化する日和見菌の3種類が棲みついています。

腸内のイメージイラスト

有害菌は、腸内で発がん物質などの有害物質を作り出し、それが全身に運ばれると病気の原因になります。腸内で有害菌が増えて有用菌が減ると、体の防御機能が弱まり、体調を崩しやすくなると言われています。

一方、有用菌には、腸内で「短鎖脂肪酸」という脂肪酸を生成する働きがあります。短鎖脂肪酸は、腸内環境を整えるほか、排便を促し、コレステロールや脂肪の蓄積を抑える働きがあります。さらに、腸の炎症を抑える働きや、免疫細胞を活性化して健康的な体を維持する働きも。腸内で有害菌が増えて有用菌が減ると、短鎖脂肪酸が減り、体調を崩しやすくなることがあるといわれています。

腸内環境を整える成分が含まれる「バナナ」

バナナには、食物繊維や難消化性のオリゴ糖のほか、「レジスタントスターチ」と呼ばれる難消化性でんぷんが含まれています。これらは、腸内で有用菌のエサとなって有用菌を増やし、短鎖脂肪酸の生成を促して、腸内環境を整えるのに役立ちます。

また、バナナには、「トリプトファン」というアミノ酸も含まれています。トリプトファンは、摂ると体内で「セロトニン」に変化します。セロトニンは、 “幸せホルモン”とも呼ばれる、精神を安定させる神経伝達物質で、腸の動きをよくする作用もあります。さらに、セロトニンは夜になると「メラトニン」という睡眠ホルモンに変わって睡眠の質を高めるはたらきがあるといわれています。バナナにはトリプトファンがセロトニンに変わるときに必要なビタミンB₆が含まれているのもうれしいポイントです。

バナナは手軽に食べられるから、習慣化しやすい

バナナを習慣的に食べるうえで優れている点は、なんと言っても「手軽さ」です。持ち運びがしやすく、皮をむくだけでいつでもすぐに食べられるうえ、腹持ちがよく、間食にも最適

また、糖質が多く、消化がよいので、エネルギー補給にも向いています。「糖質=太る」と敬遠されがちですが、糖質は体を働かせるための大切なエネルギー源で、適度に摂ることは日々のコンディションを保つための基本。バナナなら消化がよく、胃腸に負担をかけず安心して摂ることができます。

あまり熟していない青いバナナには、腸内の有用菌のエサになる「レジスタントスターチ」が多く含まれます。腸内環境を意識した食生活にも取り入れやすい特長があります。

一方、適度に熟した黄色いバナナは、消化がよく素早くエネルギーに変わるので、スポーツ時や疲れたときなどのエネルギー補給に役立ちます。

冬のバナナの食べ方と、あわせて取りたい栄養素

バナナのおすすめの食べ方としては、やはり間食として食べるのが摂りやすく続けやすいと思います。そのまま食べてもいいですし、冬は体を冷やさないよう加熱して食べるのもおすすめです。

バナナをアルミホイルに包んでグリルやトースターで焼くと、オリゴ糖が増えて甘味がアップしますし、バターで炒めて食べてもおいしいです。

Doleおすすめ!ホットバナナレシピ

焼きバナナ チョコソースがけ

加熱して甘さを増したバナナにソースとアーモンドでデザート感をグレードアップ。

バナナとオレンジのソテー

焼いたバナナの凝縮された甘さや酸味、食感の変化を楽しんで。お好みでバニラアイスを添えても。

バナナのジンジャーホットヨーグルト

ショウガでポカポカ。GABAもとれる! レンジでチンするホットレシピな一品。

また、健やかな毎日を過ごすためには、以下のような栄養素も意識して摂るようにしましょう。

  • ビタミンD
    冒頭でもお話したように、ビタミンDは体の防御機能に関わる栄養素として知られています。日照時間が少なくなる冬はビタミンDが不足しがちなので、なるべく日中は外に出て日光を浴びるようにし、食事では、サケやサバなどの青魚や、まいたけ、きくらげ、卵黄などビタミンDを多く含む食品を意識して摂りましょう。
  • たんぱく質
    たんぱく質は体をつくるために欠かせない栄養素。肉や魚、卵、牛乳、乳製品、大豆製品などの良質のたんぱく質食品をしっかり摂るよう心がけましょう。たんぱく質は、毎食20gは摂るのがおすすめで、そのためには肉や魚なら1食に100gは摂ることを目安に。また、バナナにもたんぱく質が含まれ、たんぱく質の代謝を助けるビタミンB₆も同時に摂れます。ヨーグルトにバナナをトッピングすると、たんぱく質の摂取量を増やせておすすめ。
  • ビタミンA
    喉や鼻などの粘膜を健康に保つ働きがあり、牛乳や卵黄などに多く含まれます。また、体内でビタミンAに変わるβ-カロテンを多く含む緑黄色野菜も意識して摂りましょう。
  • ビタミンC
    白血球の動きを活発にする働きがあり、野菜や果物に多く含まれます。バナナにはビタミンCは少なめですが、レモン果汁をかけると一緒に摂ることができます。
  • ビタミンE
    抗酸化作用や血行促進作用があり、健康維持をサポートします。植物油やナッツ類、アボカドなどに多く含まれます。バナナにはビタミンEは少なめですが、アーモンドをトッピングしたり、アボカドと一緒にジュースにしたりすると同時に摂ることができます。

冬もバナナや栄養バランスのよい食事を意識して、元気に過ごしましょう。

※記事の情報は2025年12月5日時点のものです。