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砂糖を使わないバナナケーキ。代官山「ピカソル」が、バナナの甘さを信じる理由

東京・代官山で40年以上愛され続ける焼き菓子店「ピカソル」。砂糖を使わず、バナナ本来の甘さを生かして作られたバナナケーキなどが人気です。そんな「ピカソル」がお菓子作りに新たに取り入れたのが、おいしく食べられるのにサイズや皮のキズなどが理由で“規格外”として廃棄されていた「もったいないバナナ」。そこで、オーナーの小林みどりさんに、お菓子作りへの想いやバナナの魅力、Doleの「もったいないバナナ」との出会いなどについて伺いました。砂糖不使用のとっておきバナナレシピも特別公開!

自分が「毎日食べたい」と思えるような焼き菓子を

――まずは小林さんのお店「ピカソル」について教えてください。

「ピカソル」を始めて、今年で42年目になります。もともとは、お店を開こうと思って始めたわけではなく、自分の趣味からスタートしました。

当時は、お菓子といえば甘いものしかなくて、自分が「毎日食べたい」と思えるようなお菓子がなかったんです。例えば、バナナ味のお菓子でも、バナナフレーバーを使ったものが中心で、本物のバナナを使っているものはほとんどありませんでしたし、甘すぎるとたくさん食べられない。それなら自分が食べたいお菓子を自分で作ろうと思ったのが始まりでした。

ピカソル外観

最初は自宅のキッチンで作って、職場や近所の方におすそ分けしていました。そうしたら、「おいしいから売ってほしい」と言ってくださる方が増えてきて、自宅で営業許可を取って、駅前で販売したり、チラシを作って配達したりするようになったんです。

小林みどりさん
小林みどりさん
「ピカソル」オーナー。1963年新潟県上越市生まれ。高校卒業後に上京し、はとバスに入社。結婚を機に専業主婦となるなかで、ふるさと新潟の旬の野菜や魚、米をシンプルに味わう食の大切さを再認識し、1985年に焼き菓子店・ピカソルを創業。大切にしているのは、「ありのままの素朴」。母が子どもに安心して食べさせたいと思うように、安心できる材料を使い、手間を惜しまず、甘さは控えめに。日常の食卓にやさしく寄り添う「食卓菓子」を届け続けている。

――お菓子作りはどうやって勉強したんですか?

お菓子作りは学校で学んだわけでもなく、すべて独学です。最初に作っていたのは、バナナケーキ、にんじんケーキ、フルーツケーキの3種類。バナナを食べながら、「ヨーグルトと粉を混ぜて焼いたらどうなるんだろう」というような感覚だけを頼りに作ったお菓子ばかりでした。

――本当に自分が作りたいものを、自分の感覚で作っていたんですね。

そうなんです。材料も特別高価なものを使うということではなく、自分の目で素材の鮮度や状態を見極めることを大切にしてきました。たとえば、バナナなら、熟しすぎていても、若すぎてもダメ。「このくらいがちょうどいい」というタイミングを自分の感覚で見極める。それはレシピや数字では表せないんですよね。その日に使う材料の状態によって、配合や量、温度は毎回同じではなく、日によって微調整します。材料を混ぜる工程もひとつひとつ丁寧に行って、手間を省かないことを大切にしています。

だから、毎日同じものを作っているつもりでも、常連のお客様に「今日は特においしかったよ」と言っていただくことがあります。お母さんが家で作るご飯も、毎日同じものでも少しずつ味が違いますよね。そんな自然な違いも、「ピカソル」の魅力だと思っています。

ありがたいことに、今では幅広い年齢層の方に愛していただき、3世代で通ってくださるお客様もいらっしゃいます。

粉をふるう小林さん

「失敗」から生まれた、砂糖を使わないバナナケーキ

――バナナケーキを最初に作ったということでしたが、小林さんはもともとバナナがお好きだったのでしょうか?

バナナは、子どもの頃からいつも家にあって、卵と同じくらい身近な存在でした。母が、バナナと牛乳、バニラアイス、卵黄、茶色いお砂糖を合わせたバナナジュースを毎日作ってくれて、それが大好きでした。あと、バナナやスイカ、モモといった、その季節のフルーツをスライスして、コンデンスミルクをかけたフルーツサラダもよく作ってくれて、それもお気に入りでした。なので、バナナをお菓子にしたら絶対においしいはず、と思っていたんです。

――バナナのどんなところが好きですか?

やはり、甘くておいしいところですね。ほかのフルーツも好きですけど、バナナはいつも身近にあったので、親しみがあります。そのまま食べてもおいしいですが、お菓子にするといっそうおいしくなる。お菓子を焼いて、オーブンを開けた瞬間に広がる香りを嗅ぐと、本当に幸せな気持ちになりますし、しっとりした食感になるのもバナナならではですよね。

たっぷりのバナナをお菓子づくりに使う

――「ピカソル」には、バナナを使った焼き菓子としてどんなものがありますか?

しっとりとしたカステラのような「バナナケーキ」をはじめ、外はサクサクで中はしっとり食感のソフトクッキー「サヴォア・デ・フェルメ」、たっぷりのバナナをそのまま潰して混ぜ込んだ「フレッシュケーキ」、バナナとヨーグルトと水、生クリームを合わせて作った「ピュールマン」など、たくさんあります。「サヴォア・デ・フェルメ」には、塩バナナ、チョコバナナ、苺バナナの3種類があります。

ピュールマン

――「ピカソル」といえば、砂糖を使わないバナナケーキが人気ですが、どのように生まれたのでしょうか?

実は、砂糖を入れ忘れたことがきっかけなんです(笑)。

――なんと…!

ある日、ある企業からの依頼で、大量のバナナのパウンドケーキの注文をいただいたんですが、個数が多いので慌ただしく作っていたら、焼き上がった後で砂糖が手元に残っていて(笑)。砂糖を入れていなかったことに気付いたんです。それで、「失敗したかな……」と思いながら食べてみたら、「あれ、おいしい!」となって。バナナだけでも十分甘くて、これはこれでいいんじゃないかと思い、そのまま商品化しました。

そもそも、うちのバナナケーキは、粉よりバナナの量が多いので、バナナの自然な甘さをしっかり感じていただけるんです。クッキーも、砂糖を使わなくてもおいしいかもと思って作ってみたら、やはりおいしくて。お客様にも好評で、どちらも今でも人気商品になっています。甘すぎないから、ごはん代わりに食べていると言ってくださる方も多いんですよね。

冷蔵ケースに並ぶバナナケーキ

――“ピカソルの味”にするためにどんな工夫を?

形を整えるために添加物を加えたり、味を調整したりすることはないので、特別な工夫はなくて、強いて言えば素材をそのまま生かすことです。自然のバナナを使って焼き上がったものが、そのままうちのお菓子です。そのため、焼き色が少し違ったり、バナナ特有の黒みが出たりすることもありますが、それも自然な表情として大切にしています。

私にとって「もったいないバナナ」は、本当においしい「良品」

――今回、「ピカソル」の焼き菓子にDoleの「もったいないバナナ」を使うことにしたのはなぜですか?

実は、きっかけは私が通っていたボクシングジムなんです。そこにたまたまDoleの社員の方も通われていて。私がお菓子を作っていることを知っていたジムの方が、その方を紹介してくださって、初めてDoleさんがフードロス削減のために「もったいないバナナ」の取り組みを進めていることを知ったんですよね。

実際に「もったいないバナナ」を食べてみたら、すごくおいしくて驚きました。「こんなにおいしいバナナがあるんだ」と感じて、ぜひ使ってみたいと思いました。

▼「もったいないバナナ」について詳しくはこちら!

――お菓子作りに使ってみて、いかがでしたか? 

正直、それまでは「バナナなら、どれもそんなに変わらない」と思っていたんです。バナナは甘くておいしいものだから、どんなバナナでもお菓子には合う。あまり個性は出ないんじゃないかと、長い間思っていました。

でも「もったいないバナナ」を使ってみたら、「使うバナナでこんなに変わるんだ」と驚きました。スタッフとも「バナナだったら何でもいいと思っていたら間違いだったね」と話したくらいです。焼き上がりの香り、コク、弾力、もちもちとした食感が違う。生地に混ぜて焼いても、バナナの鮮やかな黄色が出るんです。

常連のお客様からも、「最近バナナケーキがさらにおいしくなったね」「何か変えた?」と言われました。私たちも食べてわかるくらいでしたが、いつも召し上がってくださっている方にも伝わったんですね。

――フードロス削減のためというより、純粋にお菓子の材料として「もったいないバナナ」は適していたんですね。

はい。サイズはバラバラなのかもしれないですけど、おいしいんです。私にとって「もったいないバナナ」は、本当においしい「良品」です。丁寧に育ててくださっている方々に感謝していますし、このおいしさをこれからも「ピカソル」のお菓子として届けていきたいです。

笑顔の小林みどりさん

「ピカソル」の味を、おうちでも!

今回小林さんに、家庭でも楽しめる砂糖不使用のバナナレシピを教えていただきました。どれもバナナ本来のおいしさを生かした、シンプルで作りやすいレシピばかり。ぜひ自宅でも、「ピカソル」のおいしさを味わってみてください。

ヨーグルトパンケーキ

ヨーグルトパンケーキ

バナナとヨーグルトを使った生地で作るパンケーキ風の焼き菓子。砂糖不使用なので主食にもなり、スライスしたバナナをのせたり、生ハム&ルッコラをのせたりと自由なアレンジを楽しんで。

ヨーグルトチーズケーキ

ヨーグルトチーズケーキ

バナナの甘みがきいた砂糖不使用のベイクドチーズケーキ。ヨーグルトもミックスしているので、さわやかな味わいです。

ピュールマン

ピュールマン

卵、砂糖、油をいっさい使わず、バナナとヨーグルトをベースに生クリームを合わせて焼く、とてもシンプルでピュアなケーキ。

※記事の情報は2026年8月12日時点のものです。