アボカドはどれも同じ、と思っていませんか? 実は、産地によって、味わいや食感、旬の時期が大きく異なります。この記事では、メキシコ、ペルー、フィリピン産アボカドの特徴や現地の食文化を探りながら、それぞれの魅力を引き出すアボカドレシピを紹介。いつものアボカドがぐっとおいしくなるヒントが満載です!
目次
「アボカドは、変幻自在なカメレオン食材」
アボカドといえば、いまや一年を通して手に入る、すっかり日常的な食材。でも、実は“いつも同じ味”とは限らないことをご存じでしょうか? 産地や出回る時期によって風味や食感が変化する、実に奥深いフルーツなのです。

そんなアボカドの魅力を、「変幻自在なカメレオン食材」と語るのが、アボカド料理研究家の緑川鮎香さん。アボカドを主役にしたレシピを提案し、数多くのアボカド料理本を出版するなど、その可能性を探求し続けています。
「フルーツ特有の酸味と甘みがないアボカドは、さまざまな調味料や食材と合わせて、和・洋・中・エスニックと、いろいろな料理に展開できます。スライスしてしょうゆをかければお刺身のように、フォークでつぶせばバター代わり。ハチミツをかければデザートにも。こんなに自由度が高くて、しかも栄養豊富! 体に嬉しい働きをする不飽和脂肪酸やビタミンB群、ビタミンE、カリウム、それに意外と知られていませんが、食物繊維もゴボウ(100gあたり)と同じくらい豊富なんです」
今回はそんな緑川さんと、株式会社ドールのアボカド担当社員・南波誠さんの対談を通して、産地ごとの味の違いや、それぞれに合う料理のアイデアを深掘り! 記事の後半では、緑川さん考案の絶品アボカドレシピもたっぷりご紹介します。
“産地”を知れば、アボカドはもっと楽しくなる!
お話をしてくれたのはこの方々
緑川 鮎香(みどりかわ あゆか)さん
アボカド料理研究家・管理栄養士。学生時代よりアボカドに関心を持ち、卒業後は輸入食材を扱う小売チェーンに勤務。現場での経験と専門知識を活かし、レシピ開発や栄養監修を行う。アボカドレシピ著書5冊。アボカドへの想いが高じ、種から育てて8年目で収穫。
南波 誠(なんば まこと)さん
株式会社ドール トロピカル商品部 アボカドなどの仕入れや、国内に流通する商品の品質確認などを担当。アボカドは、切ってしょうゆや塩をかけるシンプルな食べ方が好き。
―まず、Doleが取り扱うアボカドの主な産地について教えてください。
南波 現在Doleでは、メキシコ、ペルー、フィリピンの3つの産地のアボカドを扱っています。いずれの産地のアボカドも品種は同じで、世界で最も流通している「ハス種」です。
メキシコとペルーは、日本へのアボカド輸入量のほとんどを占める二大産地。そこに、2024年11月に輸入解禁されたばかりのフィリピン産が加わりました。フィリピンは、弊社が現地に自社園地を持っている点も大きな特徴です。
―それぞれの産地でどんな違いがあるのでしょう?
南波 メキシコ産アボカドは一年を通じて安定供給が可能です。毎年だいたい7月~8月に新物に切り替わるんですが、翌年1月~6月くらいのシーズン後期になるほどオイル分が増して濃厚な味わいになります。時期によって味わいが変わるのがメキシコ産の特徴です。
一方ペルー産は、だいたい5月~9月までの夏場に出回る期間限定のアボカドで、味は比較的あっさりしています。
フィリピン産は、端境期により年に2~3か月収穫が止まりますが、ほぼ通年で供給可能です。味わいも、ねっとりしたメキシコ産とあっさりしたペルー産の中間くらいのバランス型ですね。
〈アボカドの産地別 出回り時期と特徴〉

緑川 たしかに、私もメキシコ産は季節によって味の印象が違うなと思っていました。シーズン初期のものは比較的すっきりした味ですが、翌5月頃に出回るアボカドは「油分がのってる!」って感じで。ねっとりしてて、味わいに深みが出てきますよね。
―同じメキシコ産でも、時期によって味が変わるんですね。
南波 変わるんですよ。アボカドって基本的にはどの産地でも、まだ緑色の状態で収穫して、日本に輸送した後に追熟させます。これはバナナと同じ仕組みです。ただ、標高の違いによって開花や収穫期がずれるメキシコでは、木の上に長く残った中盤以降の果実が木の上で成熟されるため、オイルがどんどん蓄えられてドライマター(果肉中の油分量)がぐっと高まり、ねっとりしたアボカドになるんです。

―Doleのメキシコ産プレミアムアボカド「極撰アボカド」も、木の上で熟成させたものということですか?
南波 はい。収穫期の中でも特に味がのっているシーズン中盤〜後期にかけて収穫され、弊社の設定したドライマターの基準を満たし、さらに見た目・色目も良く、大きいサイズの商品だけが「極撰アボカド」となります。数量も限られますし、店頭に並ぶのは1月~6月の間だけ。味わいは濃厚で、緑川さんにご試食いただいたときも「まるで大トロのよう」と言っていただけました。
緑川 ほんとに! しょうゆをかけると、口に残る脂の感じがまさに大トロ。パンに塗るとバターのようなリッチさもあって、まさに“そのままでごちそう”という感じです。

―そうすると、アボカドの産地や時期によっても、おすすめのレシピは変わるんでしょうか?
緑川 例えばアボカドって、加熱すると脂質が変性して苦味が出ることがあるんです。そこで、全ての産地で同じ火入れの調理法で試したところ、あっさりとしたペルー産は苦みを感じにくかったんですよね。逆に「極撰アボカド」は、やっぱりそのまま味わうのが一番だと思いました。
フィリピン産のアボカドは、少し甘みがあるように感じました。実際、現地ではアボカドに砂糖や練乳を合わせて、デザート感覚で親しまれています。氷と合わせてジュースにしたり、甘いスイーツにアレンジされることが多いんです。

―なるほど。現地でどう食べられているかというのも、レシピを考えるヒントになるんですね。
緑川 そうですね。今回アボカドレシピを考案するときも、せっかく日本にいながら色んな国のアボカドが食べられるので、「現地ではこんな食べ方をしてるんだ!」というふうに、みなさんがその土地の食文化にも触れるきっかけになれたらいいな、と思いながら考えました。
―アボカドを料理するのが、もっと楽しくなりそうですね。
緑川 その時期、その産地に合った味わいや調理法があることを知ると、アボカドを食べるのがもっと楽しくなります。あっさりしているアボカドにはマヨネーズやごま油のオイルを足して、コクのあるアボカドはシンプルに。そんなふうに、アボカド料理の幅が広がりますよ!
産地をヒントに楽しむ! 絶品アボカドレシピ8選
ここからは、緑川さんがDoleのアボカドのために実際に考案してくれたレシピをご紹介。メキシコ産・ペルー産・フィリピン産、そして極撰、それぞれの味わいの特徴や現地の食文化から着想を得た、アボカドの魅力がぎゅっと詰まった8品です。
Dole「極撰アボカド(メキシコ産)」を使ったレシピ
オイル含量が高く、風味豊かでリッチな味わいの「極撰アボカド」。食感や風味、油分をそのまま活かしたノンオイルのメニューがおすすめです!

ハニーマスタードの森のバタートースト
バターのようなコクのあるDole「極撰アボカド」。パンにたっぷりのせて森のバタートーストに。生ハムの塩気とはちみつの甘じょっぱさが◎

極撰アボカドしらす丼
大トロのような味わいのDole「極撰アボカド」。しらすとかつおぶしの旨味を重ね、大根おろしを添えてさっぱりといただく海鮮風のどんぶりに。
Dole「メキシコ産アボカド」を使ったレシピ
舌ざわりクリーミーでほどよいサイズ感のDole「メキシコ産アボカド」。さまざまな食材や調味料に合わせやすいのが魅力です。

タコス風ワカモレパンケーキ
メキシコの定番「ワカモレ」の食べ方は無限大。パンケーキにはさんでタコス風にアレンジ。休日のランチやパーティシーンにもおすすめ。

蒸し鶏とアボカドのピリ辛香味しょうゆだれ
淡白な鶏むね肉とコクのあるアボカドは相性ぴったり。風味豊かなアボカドだれは、豆腐や納豆と合わせても美味。
Dole「ペルー産アボカド」を使ったレシピ
Dole「ペルー産アボカド」は、爽やかな味わいで、果肉のしまりが良いと感じました。加熱しても崩れにくく、苦みを感じにくいのも嬉しいポイントです。

クミン香るアボカドカップのツナポテトサラダ
ペルーのアボカド料理「パルタ・レジェーナ」をヒントにした変わり種のポテトサラダ。アボカドの皮を器に見立てた、前菜にもおすすめの一品。

肉巻きアボカドのコクうま照り焼き
アボカドとチーズを豚薄切り肉で巻いた、ごはんが進むボリュームおかず。加熱したアボカドに甘辛だれが好相性。
Dole「フィリピン産アボカド」を使ったレシピ
ほんのりとした甘みと適度な油分、舌に心地いいなめらかな食感が特長のDole「フィリピン産アボカド」。現地の食文化をヒントにしたデザート2品をご紹介します!

ひんやりアボカドコーヒーシェイク
東南アジアなどで親しまれている、アボカドとコーヒーの組み合わせ。コーヒー氷にアボカドミルクを注ぎ、混ぜながら味の変化を楽しむシェイク仕立てに。

アボカドヨーグルトのトロピカルパフェ
フィリピンの人気スイーツ「ハロハロ」をイメージして。アボカドヨーグルトに南国フルーツやシリアルを重ね、手軽に楽しめる爽やかなパフェに。
アボカドの個性が活きる、ぴったりのレシピを見つけよう!
最後に、緑川さんに良いアボカドの見極め方も教えていただきました。
「皮の色が黒くなっているものが、食べ頃のひとつの目安になります。全体的にふっくらハリがあって、ツヤがあり、卵型のアボカドを選ぶのがおすすめです。へたの部分に穴があると、そこから空気が入り、酸化が進んで中身が黒くなっていることもあるので、選ぶときはチェックしてみてください」とのこと。
アボカドの産地や時期による味わいの違いを知れば、「今日のアボカドには、どんな料理が合う?」と考える手がかりになります。手に入ったアボカドの個性に合わせて、ぴったりの楽しみ方を見つけてみてください。
※記事の情報は2025年8月14日時点のものです。